音楽

トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン

2012.04.04 サントリーホール
プログラムB
「イントラーダ」
J.シュトラウスⅡ世 春の声 Op.410
 ソプラノ:天羽明惠
J.シュトラウスⅡ世 喜歌劇「こうもり」より
 序曲
‘侯爵様、あなたのようなお方は’
‘田舎娘の姿で’
  ソプラノ:天羽明惠
シューベルト
 イタリア風序曲ハ長調D.591
 オッフェルトリウム「心に悲しみを抱きて」ハ長調D.136
  ソプラノ:天羽明惠 クラリネット:ペーター・シュミードル
アンコール
ケルビーニ :アヴェ・マリア
ベートーヴェン ロマンス第2番ヘ長調Op.50
  ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ
モーツァルト 交響曲第40番ト短調K.550
アンコール
J.シュトラウスⅡ世  騎士パズマンのチャールダッシュ
J.シュトラウスⅡ世 トリッチ・トラッチ・ポルカ

勢いよく始まった前奏曲と「こうもり」序曲では、小編成のまとまりの良さを感じたが、歌が入ってからは天羽明惠が勢いに乗りきれず残念に思った。しかしアンコールのアヴェ・マリアはシュミードルのクラリネットのしみじみとした音と溶け合って、訳もなく涙がこぼれた。
後半ベートーベンのロマンスは鋭利な音のシュトイデが速めのテンポを揺らす個性的な演奏で、所謂ロマンティックな演奏ではなかったけれど、これはこれで楽しかった。また、モーツァルトの交響曲40番もツボを心得た演奏で軽すぎず重すぎず、ゆったりとリラックスできた。
全体的に体も心もリラックスして気持ち良さが終演後もしばらく持続した演奏会だった。サントリーホールの8列目くらいだと音が頭の上を通り過ぎていく感じがするけれど、今回は1階12列中央で自然にすんなりと聴こえてきて違和感がなかった。15,16列でなくても12~14列でもいいかなと感じた。

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山根一仁 ランチタイムコンサート

2012.04.07 トッパンホール
ピアノ:鈴木慎崇

ブラームス ヴァイオリンソナタ第1番 ト長調 Op.78
ワックスマン:カルメン幻想曲
アンコール
クライスラー : 中国の太鼓 Op.3
バッツィーニ : 妖精の踊り Op.25

ブラームスのヴァイオリンソナタ1番は丁寧な演奏だったけれど、少し退屈だった。ピアノの伴奏はどちらかというと控えめで、もっとピアノがヴァイオリンを挑発しても良かったのではないかと思った。
この曲では客席があまり盛り上がらないことを予想していたのかもしれない。2曲目に技巧的なカルメン幻想曲を持ってきて、彼の速弾きで盛り上げようというプログラムだった思う。アンコールでは立て続けに技巧的難曲を2曲演奏して大いに盛り上がった。
重音の速弾きをしても音程が狂うことは少なく、きれいな音としっかりしたリズム感を持っていて、華のある演奏家だと思った。

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レ・ヴァン・フランセ 2012

2012.04.21 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール

バーバー:夏の音楽 作品31
ファランク:六重奏曲 ハ短調 作品40
モーツァルト:ピアノと管弦楽のための五重奏曲 変ホ長調 KV 452
ヴェレシュ:オーボエ、クラリネット、バソンのためのソナチネ
プーランク:六重奏曲
アンコール
ルーセル:ディヴェルティスマン op.6
テュイレ:六重奏曲 変ロ長調 op.6 第3曲 ガボット

2009年に初めて生で聴いてすっかり魅了されたこのユニット。今回も各々の美音と妙技に絶妙のアンサンブルを堪能した。
どの曲も良かったけれど、特にヴェレシュのソナチネがリード楽器のみの音色の重なりが美しくて、マットで柔らかな質感なのに意外にシニカルな表現内容のパウル・クレーの抽象画のようで私の中では一番だった。そんなことを考えながら少しヴェレシュについて調べていたら、パウル・クレーへのオマージュという曲を書いていた。ハインツ・ホリガーは教え子とのこと。

ルルーの輝かしい音色はオーボエの持つちょっと野暮ったいくらい生身の感じではなくて、洗練されていてお洒落で、彼が身に着けている衣装(一人だけチャコールグレーのスタンドカラー少し長めのサイドベンツ・ジャケットの胸にはポケットチーフ)に対するこだわりにも通じるものを感じた。前回同様終始他のメンバーに向けてアイコンタクトを取っていた。

ポ-ル・メイエの演奏は全体のバランスを考えた音量をほぼ終始保っていたけれど、リズム感抜群の息遣いでメンバーをまとめていたようだった。ソロパートでの艶っぽさは健在。彼の衣装は黒のサイドベンツ・ジャケットに細身のパンツと黒いシャツ、ネクタイは黒に近い濃紺?ジャケットの袖口カフスと裏地が赤という洋服のセンスはいかにもフランス人的だけれど、ステージでの行動は地味というかルルーやパユに比べると控えめ。

パユはフルートという楽器で煌めくような音からかすれるハスキーヴォイスまで様々な音色を使い分ける。確かに巧いと思うのだけれど、身に着けるものに拘りを持たないようで、今回はネクタイの色と結び方が変だった。人気は一番。

バソンのジルベール・オダンは今回も柔らかで暖かな低音でアンサンブルを支えていた。未だに、バソンとファゴットの違いがよくわからないが、ファゴットよりもバソンの方がオーボエの音に近いような気がする。もらった花束をベルに差し込もうとしていて、地味に受けを狙っていた。受けを狙っていたといえば、ルルーはパユが2つ目の花束をもらっているときに、自分の花束を受け取りに自ら催促に行ったり、パユは他のメンバーより先に舞台袖に下がりながら、ほかのメンバーに拍手したりしていて、全体的にテンションが高かった。皆、一曲終わるごとに2階席を気にして何やら話していたが、制服を着た女子学生が大勢来ていたせいかな。

そしてホルンの音は軽く爽やかで、象の鳴き声かと思うような破裂音は決して聞こえてこない。ヴラトコヴィチ、このメンバーの中では背は高くないけれど体の厚みと幅があっていかにも肺活量がありそうだ。こんなきれいな音のホルン奏者が日本のオーケストラにもいたらいいのに・・・

今回ル・サージュは他のメンバーのサポートに徹している感じだった。定番のプーランクやテュイレの六重奏ではにぎやかな管楽器の演奏に自然に溶け込んでいた。
爽やかな初夏の風を存分に楽しめた。

2009年の記録を読み返すと、タイとシャツの色が異なるけれどP.メイエのスーツは前回と今回と同じものみたい。各メンバーについての感想も同じような感じ。一番違ったのが、聴衆の年齢だったのか。若い人が多いというのは珍しい。

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トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンと山根一仁 ランチタイム コンサートについては時間がかなり経過したけれど、次回簡単なメモは残しておこうと思う。

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M・ヤンソンス:コンセルトヘボウ;アンスネス

先週金曜日のべスト オブ クラシック(NHK FM)を聴いた。アンスネスのブラームス ピアノ コンチェルト2番とアンコールのショパン ワルツ 変イ長調。後半はベートーヴェンのシンフォニー7番。

コンチェルト2番は好きな曲でいくつかお気に入りの演奏がある。この演奏はピアノは良かったのに、金管が時々ひっくり反っていて少々残念だったにしても、表面的には爽やかさを装いながら意外にねちっこいアンスネスが聴けて楽しかった。アンコールのショパンは絶品。
あんな演奏のアンスネスを聴きたい。

後半のベトシチは楽しくって、ノリノリ。指揮者もオケも弾けていた。4楽章は映画「愛と哀しみのボレロ」の中でジョルジュ・ドンが踊るベジャール版「海賊」が脳内再生されて、じっとしていられない。演奏は3楽章が一番良かったかな。この曲は管楽器もしっかり演奏していた。

ラジオ番組の録音が出来なかったのが残念。再放送があるといいけれど。
クラシック倶楽部ではアンスネスのヤナーチェクを何度も再放送しているのにシューベルトとアンコールのベートーヴェンとスカルラッティを放送したのを聴いたことが無い。シューベルトはピアノの音が少し変だったことがあるのかもしれないけれど、あのアンコールに弾いたベートーヴェンとスカルラッティにこそ、実はアンスネスの特質が表れていたように思われる。

明日はいよいよボリショイ「スパルタクス」。ハチャトリアンの音楽はバレエに詳しくない家人でも知っているはず。楽しみ。

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2011年音楽・舞台鑑賞総括

2011年音楽&バレエ鑑賞総括

今年は3.11以降公演キャンセルが続いたし、家族の入院などのためにかなり数が限られた。ウィーンフィルとかキーシンとか聴きたかったな。

最も印象深く感動したのはギエムのパフォーマンスだった。改めてバレエというよりも身体表現の奥深さと完成度の高さを感じさせてくれた舞台だった。舞台と観客の気持が交互に喚起されていく過程はその場にいた人にしか経験できないもので、ギエムのもつカリスマ性と人懐こい笑顔に元気づけられた。

1/20    ベルリン国立バレエ「チャイコフスキー」
     東京文化会館

4/6    ヤン・リーピン「蔵謎」
     オーチャードホール

5/12  クリスティアン・テツラフ
     トッパンホール
     バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ2,3番

5/15 クリスティアン・テツラフ
     トッパンホール
     バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ1番
     バルトーク無伴奏ソナタ

6/20 みどり&オズガー・アイディン
    サントリーホール
    モーツァルト   :ピアノとヴァイオリンのためのソナタト長調
    ヤナーチェク  :ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
    ラヴェル         :ヴァイオリンとピアノのためのソナタト長調
    サッリネン      :4つのエチュード Op.21
    ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ
              第9番イ長調「クロイツェル」Op.47
    アンコール  ドビュッシー :亜麻色の髪の乙女

8/3  金子三勇士 ランチタイムコンサート
      トッパンホール
         リスト スペイン狂詩曲 S254
         コンソレーション第3番 S172-3
         メフィスト・ワルツ第1番 S514

8/11    大野和士のオペラ・レクチャーコンサート《二つのボエーム》
     神奈川県立音楽堂

レオンカヴァッロといえば≪道化師≫しか知らない私。一方有名な作品がずらりと並ぶプッチーニ、この二人がほぼ同時に≪ラ・ボエーム≫を作曲していたとは。しかもプッチーニは裏切りとも言える方法で。大野さんのお話は面白かったが、少し疲れているように見えた。今の私の家からはかなり遠い神奈川県立音楽堂だったけれど、楽しい時間が過ごせてよかった。

8/17   ヴィシニョーワ&チュージン&東京バレエ団「ジゼル」
     ゆうぽうとホール     

10/1   渡辺克也のグラン・パルティータ
     トッパンホール
     モーツァルト セレナード第12番《ナハトムジーク》
            セレナード第10番《グラン・パルティータ》

トッパンホールが好きな母がヴァイオリンの無伴奏曲よりも合奏曲の方が好きだと言うので、ではぜひモーツァルトで幸せな気分になってもらおうと思ったのに、体調不良で行けなくなり、代わりに家人と行ってきた。コントラファゴットと言う楽器をたぶん初めて見た。ブォーという超低音がお腹に響いた。渡辺克也の音が大きくて、綺麗で、オーボエ好きにとっては幸せな時間だった。四戸世紀のクラリネットもやはり音が大きく、響きが丁寧だった。

10/19  ギエム・チャリティ・ガラ <HOPE JAPAN> 
     東京文化会館
     「現代のためのミサ」より“ジャーク”東京バレエ団
     ニネット・ド・ヴァロワによる詩 朗読:アンソニーダウエル
     「ルナ」 シルヴィ・ギエム
     「アルルの女」より マッシモ・ムッル
     「火の道」舞踊:花柳壽輔  横笛:藤舎名生  太鼓:林英哲
     「ダンス組曲」より マニュエル・ルグリ  チェロ:藤原真理
     日本歌曲 独唱:藤村実穂子
     「ボレロ」シルヴィ・ギエム 東京バレエ団
          アレクサンダー・イングラム
          東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

10/25  ギエム オンステージ 2011 Aプロ
     東京文化会館
    「白の組曲」東京バレエ団
    「マノン」より寝室のパ・ド・ドゥ ギエム ムッル
    「スプリング・アンド・フォール」より 吉岡美佳 高岸直樹
    「田園の出来事」ギエム ムッル ダウエル 他
     
11/15   ピーター・ウィスペルウェイ
     トッパンホール
     ベンジャミン・ブリテン 無伴奏チェロ組曲 第1,2,3番

3曲ともポイントを説明をしてからの演奏だった。演奏者自身の説明があったおかげで興味が広がった。ツィメルマンがルトスワフスキのピアノ協奏曲について説明してくれたときにも感じたが、あまり普段聴く機会のない音楽は事前に解説があると、曲に対する興味をより強く持つことが出来る。
私はエモーショナルな3番が聴きやすかった。席がステージに近かったので、弦の振動を眼と耳と心臓で感じられたことが良かった。

11/17 映画「Pianomania」試写会&エマール トークタイム
     トッパンホール

11/18   ピエール=ロラン・エマール
     トッパンホール
     リスト    悲しみのゴンドラ第1稿
     ワーグナー  ピアノソナタ 変イ長調
     リスト    灰色の雲
     ベルク    ピアノソナタ
     リスト    不運!
     スクリャービンピアノソナタ第9番《黒ミサ》
     リスト    ピアノソナタ ロ短調 

今年アニヴァーサリー・イヤーだったリストだが、エマールのロ短調ソナタは、演奏の様子に比べてあっさり聞こえて拍子抜けした。これまでこの曲から私が感じてきた、人生における喜怒哀楽とか諦観というような感情の起伏という捉え方ではなかったのだと思った。リストという作曲家の音楽史における位置づけに軸足が置かれていたのだろう。どの曲も幸せとか平穏とはかけ離れていて、少し穿った見方をすれば、これが日本の今の状況を表現しているともいえた。

来年はもう少しいろいろな舞台を楽しめると良いなと思っている。
アルカント・カルテット、ボリショイ≪スパルタクス≫、コジョカル、トヨタ・マスタープレイヤーズ、レ・ヴァンフランセ、テツラフwith児玉桃は手配済み。クレーメル、ポリーニやツィメルマン、再来年のアンスネス;サロネン:フィルハーモニア管弦楽団はとても楽しみ。

12/21追記
コジョカル・プロジェクトBプロはアレクサンドル・リアブコが参加してコジョカルと「椿姫」黒のパ・ド・ドゥを踊ることになった。うれしい驚き。ハンブルク・バレエ団アジアツアーから外された日本だけれど、大好きなリアブコが来てくれるとは幸せ。「ドン・キホーテ」にはでないのかしら。

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映画「Pianomania」試写会+エマール トーク

ピーター・ウィスペルウェイの演奏を聴いた感想をまだ書いていないのだけれど、それはもう少し後にして先にエマールのトーク イヴェントの覚書を。

2011.11.17 15:00より トッパンホール

「Pianomania」はドキュメンタリーとして見れば、ピアノ調律師とピアニストとの「プロフェッショナルの現場」ということになるけれど、エマールの話を聞くと、企画が持ち込まれた段階でいかに面白く見せることができるか、制作と出演者との間で協議されていたようだ。イグデスマン&ジョーのコメディ要素も盛り込まれている。

エマールのピアノの音質や音の広がり方に対するこだわりが分かる映画よりも、実は後の語りの方が面白かった。映画の中で話すドイツ語や英語も穏やかだったけれど、聞きとり易くするためにゆっくり話されるフランス語はさらに穏やかな口調ではあっても、内容には曖昧なところはなく、口当たりの良い辛口のシャンパーニュのようだった。

ツアー先に自分の楽器を持ち運ぶピアニストもまれにいるが(ツィメルマンのことかしら)、楽器は運搬途中や運搬先のホールのコンディションで、自宅にある時と同じようにはならないので、エマールは楽器も調律師も専用・専任ということではなく対応している。その様子が映画の中で描かれているのだが、映画はその極端な例である。

現在のピアノはグローバル・スタンダード化して、発展を停めてしまっている。ヤマハの新しいコンサート・ピアノの音が素晴らしいことをもっと多くの人に知ってもらえたらいいと思うが(と、日本国内向けリップサービス)、だからと言ってみんなヤマハのようになるのではなく、様々なメーカーが独自の発展をしていくことが望ましい。

ピアニストの中にはピアノという楽器が音を出す仕組みや構造についての知識が不足している人がいる。
優れた先達であるアルトゥール・ルービンシュタインとクラウディオ・アラウは演奏スタイルは対極にあると言えるほど異なったが、共に語彙が豊富で多くの本を読み知識があった。専門は音楽でも文化を広く知り捉える事が必要である。

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<HOPE JAPAN>東日本大震災復興支援チャリティ・ガラ シルヴィ・ギエム・オン・ステージ 2011

<HOPE JAPAN> 2011.10.19 東京文化会館

「現代のためのミサ」より“ジャーク”(「ダンス・イン・ザ・ミラー」より)
音楽:ピエール・アンリ/振付:モーリス・ベジャール
東京バレエ団

ニネット・ド・ヴァロワによる詩「満ち足りた幽霊」「子供の言うには・・・」
朗読:アンソニーダウエル

「ルナ」
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ/振付:モーリス・ベジャール
シルヴィ・ギエム

「アルルの女」より
音楽:ジョルジュ・ビゼー/振付:ローラン・プティ
マッシモ・ムッル

「火の道」
舞踊:花柳壽輔  横笛:藤舎名生  太鼓:林英哲

「ダンス組曲」より
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ/振付:ジェローム・ロビンズ
マニュエル・ルグリ  チェロ:藤原真理

「十五夜お月さん」「五木の子守唄」「シャボン玉」「赤とんぼ」「さくらさくら」
藤村実穂子

「ボレロ」
音楽:モーリス・ラヴェル/振付:モーリス・ベジャール
シルヴィ・ギエム 東京バレエ団
指揮:アレクサンダー・イングラム
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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「現代のためのミサ」は前座で、ダウエルの声が心地よく響いた朗読がオープニングという趣だった。ニネット・ド・ヴァロワがイェイツと親交があったとは知らなかった。
イェイツは神秘主義的詩人というか民俗学者でもあり、日本の能に興味を持ち、自ら新作能を書いてもいる。
この二つのヴァロワの詩を読んでも神秘主義的雰囲気は読み取れる。バレエにしても能にしても舞踊は神秘的物語とは相性が良いことが関係しているのだろうと思う。
今回のガラ公演における演目は「ダンス組曲」以外は神秘性とか非日常的精神の高揚を扱っているともいえる。(「アルルの女」は破綻だけれど、「ボレロ」はまさにその極致)
ギエムがこの詩の朗読を頼んでくれて、またそれを引き受けてくれて良かった。

「ルナ」ギエムが舞台の奥の暗がりから浮かび上がったとき、髪の色が薄いのとユニセックスな白い衣装なので一瞬誰だか分らなかった。
ヴァルナ・コンクールで踊った10代のギエムを映像でも写真でも見たことがないけれど、きっとそのときの雰囲気を今でも造り出すことができるのだろうと思った。私にとっては新鮮だった。

ムッルの「アルルの女」を生で初めて見た。エトワール・ガラ2010でみたバンジャマン・ペッシュのフレデリに比べてどす黒い嫉妬というよりは、心の脆さとアイロニーを感じた。
後ろに髪をひっつめたスタイルは彼をストイックに必要以上に見せる気がする。

「火の道」音楽はそれなりに面白かったが、舞踊が何を表現していたのか分からなかった。

ロビンスの「ダンス組曲」はバリシニコフに振りつけられたものらしいけれど、ルグリの音楽性にぴったり嵌っていて良かった。特に6番プレリュードの速い動きが柔らかくしなやかで、私は古典作品での王子よりこういった作品の方が好きだ。チェロ奏者に対するフランクな仕草や表情がとてもチャーミング。ただ赤い衣装の上下の色が微妙に違っているのが気になったかな。
カーテンコールが3度あり、舞台下手から上手へ移動してにこやかに応えていたのは、日本での人気の高さと来日してくれたことへの感謝もあるだろうけれど、お誕生日のお祝いの意味もあったか。
バッハの無伴奏チェロ組曲を使った勅使河原三郎の硬質な作品とは全く異なるが、ダンサーと奏者が一対一で紡ぎだす世界ということで比較すると、LFJ2009でのタチアナ・ヴァシリエヴァの演奏が素晴らしかったことが思い出される。

笛や太鼓がPAスピーカーを使っていたのに、藤村実穂子はさすがにオペラ歌手らしく生の声を聴かせてくれた。歌詞が胸に染みて涙がこぼれた。

「ボレロ」でのギエムは先ほどまでのギエムとは別人になっていた。ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』かジャンヌ・ダルクかといった印象で、2009年ベジャール・ガラのときよりもさらに力強く雄々しい姿だった。
リズムを踊る人達は誰なのか分からなかったけれど、3階席から見下ろすと舞台上にまるで日の丸が翻っているように感じられた。
今回のチケット先行発売開始時刻を忘れていて1時間が過ぎてからWeb申し込みしたらS,A席は完売でB席も残りわずかだったので選ぶ余地がなかったのだが、最前列だったのは不幸中の幸いだったかもしれない。
演奏は案の定、金管が時々ひっくり返っていたけれど、それでも録音によるものよりずっと推進力があって良かったように思う。

「ボレロ」の高揚感とこの時期に来日してくれたアーティストに対する感謝の気持ちなどもあって、1階はスタンディング・オヴェイション。私は高所恐怖症のため心からの拍手。

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金子三勇士 ランチタイム コンサート

2011.08.03 トッパンホール

リスト スペイン狂詩曲 S254

     コンソレーション第3番 S172-3

     メフィスト・ワルツ第1番 S514

この日の演奏を聴いた感じでは、パワフルで上手だけれど、技巧派という感じではなかった。本人が書いたメフィスト・ワルツのライナーノーツには「大人の世界をお楽しみください。」とあったけれど、私には初々しさが感じられて、自然と微笑みがこぼれてきた。次回はバルトークを聴きたい。

意外に背は高くなく、手も飛びぬけて大きい感じはしなかったけれど、腰回りががっちりとして安定感があるせいか、あるいは朴訥とした雰囲気のせいかアンスネスを思いおこさせる。金子の将来が楽しみだ。

無料コンサートで人気があるのか、それとも金子自身の人気のせいか、早くから順番待ちの列が出来ていたようだ。夏休み昼間の公演なので若干子供がいたが、全体的に年齢層が高い。そのせいかどうかわからないけれど、演奏中にビニール袋のようなものがガサガサいう音や金属がチャラチャラ鳴る音がしきりに聞こえて耳障りだった。

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Midori & Özgür Aydin Duo Recital 2011

五嶋みどり & オズガー・アイディン

2011.06.20 サントリーホール

モーツァルト   :ピアノとヴァイオリンのためのソナタト長調 K.301
ヤナーチェク  :ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
ラヴェル         :ヴァイオリンとピアノのためのソナタト長調
サッリネン      :4つのエチュード Op.21
ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第9番イ長調
                      「クロイツェル」Op.47
アンコール 
ドビュッシー    :亜麻色の髪の乙女

濃紺地に金色の(刺繍か織かは不明)模様のドレスが似あう。
      
K.301はかなり音量を絞っていて、ヴァイオリンの音がかき消されて聴き取れない部分もあったが、私にとってのヒーリング・ミュージックの定番曲を薄水色のモスリンのような音色で演奏。この演奏会のテーマは「癒し」なのだと感じた。訳もなく涙が流れた。

ヤナーチェクのソナタは屈折した怒りや悲しみ、憎しみの心があちらこちらに噴出する曲なのだけれど、この演奏では激情は押さえられていた。どんな過酷な運命に翻弄されても、穏やかな心は必要なのだというメッセージともとれる。

ラヴェルのソナタは第1楽章でのピアノとヴァイオリンの掛け合いに官能性がなくてときどき意識が遠のいた。第2楽章ではフランス風のエスプリよりもジャズ風なリズム感(bluesだけど)が勝っていた。第3楽章ではヴァイオリンの超絶技巧は楽しめたものの、ピアノのグルーヴ感がヴァイオリンをリードするはずが足を引っ張ってしまい残念。

サッリネンのエチュードは・・・このホールで聴くにはインパクトが希薄だった。

「クロイツェル」さすがに演奏に力が入っていて、生き生きと躍動感に溢れる部分もあったのだけど、ピアノが変なリタルダントを入れるので、緊張感が壊れてしまうことが何度かあった。

ピアノがロバート・マクドナルドだったらこんな破綻はなかったのではないかと思う。midoriと相性がいいかどうかは分からないけれど、たとえばツィメルマンとかアンスネスとか女性のハートに火をつけるのが巧い人だったら、もっと官能的かどうかは分からないけれど、心の奥の激しい部分を引きだした上での優しさとか癒しを感じさせることが出来たのではないかと思い残念だった。

亜麻色の髪の乙女でなぜか再度の涙。柔らかく滑らかな肌触り。生成色のオーガニック・コットンの枕に頭を沈めて安らかな眠りにつくときの感覚。

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五嶋みどり公式Webより

みどりのEYEに日本の皆様へという文が5月13日付けで発表されていた。

http://www.gotomidori.com/japan/cms/midori.php?itemid=1188&catid=11

宮崎も福島での公演も予定通り行うと言っている。この時期日本への演奏旅行をする音楽家達は戦地へ慰問演奏旅行のように感じているのだろうか。
またアンデルシェフスキは、サバティカル期間中、数か月間日本に暮らすつもりだと言っている。
豪胆な方々です。

やはりこれまでに様々な困難を乗り越えてきた人は違いますね。

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