2006年映画観賞記録から 3
| 『恋のドッグファイト』 |
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地味だけれども佳品だと思います。 何の予備知識もなく何気なくTVをみていたら、「あれはリヴァー・フェニックスではないの?!」兵士?戦争?えっー!!・・・驚いた。リヴァー・フェニックスの演技はいつものように繊細でとても感情のこもった作りこみ。リリ・テイラーも好演しています。 反戦映画には違いないのですが、ナンシー・サボカ監督は声高にNO MORE WAR!というのではなく、一兵卒とそのガールフレンド(敢えていうなら)との微妙な関係の推移を通して、戦争に生き残った若者の悲しみを描いています。
原題:Dogfight 製作国:アメリカ 製作年:1991 監督:ナンシー・サボカ 製作:ピーター・ニューマン/リチャード・グエイ 脚本:ボブ・コンフォート |
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| 『マイ・プライベート・アイダホ』 |
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一番の見所はマイク(リヴァー・フェニックス)がスコット(キアヌ・リーヴス)に愛を告白する場面で、焚火を囲む二人が暗闇で囁く声が耳について離れません。 この映画でアメリカ社会の暗部を抉り出すというような視点ではなく、むしろその渦中にいる少年を愛おしく表現しているのが、ガス・ヴァン・サントのスタンスだと思います。
原題:My Own Private Idaho 製作国:アメリカ 製作年:1991 監督・脚本・製作総指揮: ガス・ヴァン・サント 製作: ローリー・パーカー |
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| 『リトル・ロマンス』 |
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ヴェネチアの映像を観て思い出したのが『リトル・ロマンス』 これを観たのは高校生のときで、誰かと行ったその相手を思い出せないのがずっと気になっていました。その数年後、ヴェネツィアへ行ったとき、ゴンドラに乗って【ためいき橋】の下をくぐると、二人同時に『リトル・ロマンス』を思い出しちゃうね、と言ったのでした。
この映画のダイアン・レインは13歳にしては大人びていて子供から大人への過渡期特有の可憐さでしたし、謎の老人(スリ)を演じたローレンス・オリヴィエが実に優雅な身のこなしで気品に溢れていたので、この映画全体が格調高いものとなりました。
ジョージ・ロイ・ヒル監督の作品には『明日に向かって撃て』『スティング』『華麗なる飛行機野郎』『ガープの世界』などがあります。
原題:A Little Romance 製作国:アメリカ 製作年:1979 監督:ジョージ・ロイ・ヒル |
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| 『17歳のカルテ』 |
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なんといっても、アンジェリーナ・ジョリーの行っちゃってる目つきは迫力がある。ウィノナ・ライダーの影が薄れる。 精神的に不安定なティーンエイジャーの心の揺れを精神病院を舞台とすることで、より強調して見せているが、彼女たちの行動は普通の生活の中にも潜んでいるものなので、同年代の少女にはより現実感をもって訴えてくるものがあるだろうと思う。 物語自体は全く異なるが、フランソワーズ・サガンの原作をオットー・ プレミンジャーが映画化した『悲しみよこんにちは』を思い起こした。17歳の少女の感受性の捕らえ方は、『悲しみよこんにちは』を踏襲していたように思える。それは、『17歳のカルテ』の原作を読んでいないから断定は出来ないが、おそらく映画としてというよりは原作がそうなのだろうと思う。
最近では『ウォーク・ザ・ライン-君につづく道』がジェームズ・マンゴールド監督作品。 彼は1995年に『君に逢いたくて』(Heavy)でサンダンス映画祭審査員賞を受賞している。
原題:Girl, Interrupted 製作国:アメリカ 製作年:2000 監督:ジェームズ・マンゴールド 脚本:ジェームズ・マンゴールド、リサ・ルーマー 原作:スザンナ・ケイセン |
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| 『ニューヨークの恋人』 |
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なんとも乙女チックな物語を嫌味でなく白馬に乗った王子(貴族)を演じるヒュー・ジャックマンに感心しきり。ちっともエグゼクティブには見えないメグライアンだが、そこが女性に好まれる所以。 これの脚本・監督が『17歳のカルテ』のジェームズ・マンゴールドだとは。女の気持ちをくすぐっておきながら、心の奥底で笑っていると感じるのは、私がひねくれているのだろうか。
原題:KATE&LEOPOLD 製作国:アメリカ 製作年:2001 監督・脚本:ジェームズ・マンゴールド 原案・脚本:スティーブン・ロジャース |
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| 『ティン・カップ』 |
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原題:Tin Cup 製作国:アメリカ 製作年:1996 監督:ロン・シェルトン
この映画は、ケヴィンの身体だけに目が吸い寄せられる。ゴルフに詳しくなくとも、そのスウィングの美しさは分かるし、プレーに対するひたむきさが伝わってくる。恋の相手も成り行きも全く気にならない。 彼は見目麗しいわけでもないし、もちろん演技派でもない。彼でなければ演じられないと思うようなところはないから、しばらく観なくても気にならない。しかし、スクリーンに映し出されたその控えめな姿を見て疎ましく思う人は少ないのではないだろうか。それが脇役ではなく主役なのだ。ケヴィン・コスナーはある意味稀有な才能の持ち主だと思う。 |
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| 『ボディガード』 |
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原題:The Bodyguard 製作国:アメリカ 製作年:1992 監督:ミック・ジャクソン
ホイットニー・ヒューストンの挿入歌『I Will Always Love You』がこの映画のすべてに勝るのです。 そんな映画ってあります。 『I Will Always Love You』のオリジナルはドリー・パートンの曲です。 ドリー・パートンのカヴァー曲のヒットというと映画『Nine to Five』の挿入歌『Morning Train』をシーナ・イーストンがヒットさせたけど、あれも他人が歌った歌はヒットしたけどドリー本人が出演した映画はパッとしなかったような。 しかし、ケヴィン・コスナーは確かにこの中では姿かたちから誠実さが滲みでていて良かったと思います。この際、ストーリーは気にしない、気にしない。 |
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| 『ダンス・ウィズ・ウルブス』 |
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アメリカが少数民族やネイティブ・アメリカンに対する考え方を変えてきた際に生まれた大作。白人が主役であることは変わらないけれども、ネイティブ・アメリカンに対する認識を変えようとする意識が十分働いている。 また、ケヴィン・コスナーが自分の魅力を発揮させることに成功した作品でもある。彼が男らしさを身体を張って表現した場合は十分美しいし、乗馬も様になっていて迫力がある。
原題:Dances with Wolves 製作国:アメリカ 製作年:1990 監督:ケヴィン・コスナー |
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| 『オータム・イン・ニューヨーク』 |
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美術、映像としてはOKです。 でも、映画としては面白みに欠け、お話の設定とは逆にリチャード・ギアのアクセサリーくらいにしか感じられないウィノナライダーでした。
原題:Autumn in New York 製作国:アメリカ 製作年:2000 監督:ジョアン・チェン |
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| 『愛と青春の旅立ち』 |
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海軍航空士官養成学校を舞台にした青春物語としては古典ともいえるものだと思う。 しかし、基本的にこの手のものは拒絶反応を示してしまうのだ。 主人公を演じるリチャード・ギアとデブラ・ウィンガーのラヴ・シーンとラストシーンが全体を救っているようにも思われるが、根本は女性蔑視の思想に貫かれているのが鼻についてしまう。
挿入歌『Up Where We Belong』は大ヒットし、アカデミー歌曲賞とりました。
原題:An Officer and a Gentleman 製作国:アメリカ 製作年:1982 監督:テイラー・ハックフォード |
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| 『ギルバート・グレイプ』 |
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ラッセ・ハルストレム監督の手堅いヒューマンドラマです。 レオナルド・ディカプリオが知恵遅れの少年を派手に演じて評判になりました。 一方、主人公ギルバート役を演じたジョニー・デップは抑えた演技でした。 後に、自分自身の少年期のことを演じているようで苦しかったというようなことを言っていたと思います。 ジョニー・デップの確かな演技力はもちろんですが、そんな思いが繊細な表現につながったのかもしれません。
原題:What's Eating Gilbert Grape 製作国:アメリカ 製作年:1993 監督:ラッセ・ハルストレム |
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| 『ノイズ』 |
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気味が悪いお話ですよね。 その気味悪さをジョニー・デップとシャーリーズ・セロンが良く演じているとは思うのです。二人とも大好きな俳優なのですが・・・ 『エイリアン』は上映当時は見たくもなかったのですが、20年以上経ってから、じっくりと観ることができて、その映像の美学に感動したので、これももしかしたら、後になって評価が変わるかもしれませんが、今は及第点に届きません。
原題:Astraunotes' Wife 製作国:アメリカ 製作年:1999 監督:ランド・ラヴィッチ |
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| 『トップ・ガン』 |
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トム・クルーズが苦手な上に、アメリカの国威発揚のプロパガンダ映画と見くびっていたのでなかなか見る機会がなかった。 公開から20年以上経ってからTVで見たら、ヴァル・キルマーはよかった。『刑事ジョン・ブック/目撃者』のケリー・マクギリスがトム・クルーズの相手役なのだけれども、ミスキャストのように思う。 海軍にあこがれる人たちには見所の多い映画なのだと思う。
監督のトニー・スコットはリドリー・スコットの弟。
原題:Top Gun 製作国:アメリカ 製作年:1986 監督:トニー・スコット |
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| 『隣人は静かに笑う』 |
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話のつくりや小道具が緻密に計算されていて、サスペンスのお手本のような作品です。 ティム・ロビンスとジョーン・キューザックは正体不明な隣人から徐々に悪意に満ち満ちた不敵なテロリストに変化していき、その表情が本当に怖い。なによりこの話が現実のものとなりうることに、背筋に寒気が走った。脚本はアーレン・クルーガー。この人が『ザ・リング』や『ブラザーズ・グリム』の脚本も書いています。サスペンスやホラーなど怖がらせる話を得意としているようです。
原題:Arlington Road 製作国:アメリカ 製作年:1998 監督:マーク・ペリントン 脚本:アーレン・クルーガー |
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| 『ぼくの美しい人だから』 |
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スーザン・サランドン、ジェームズ・スペイダー共に本当に素敵にみえました。 ちょっと設定が似ていたジャック・ニコルソンとヘレン・ハントの『恋愛小説家』ですが、女性のの描き方は『ぼくの美しい人だから』のほうが上手です。というか、語っているのはマックスですが、話の軸足は女性よりです。 学歴や教養がないこと、16歳年上であることを気に懸け、息子を死なせたのは自分の至らなさだったと悔やみながらも、自分というものを偽りたくないと毅然と生きようとする健気な女をスーザン・サランドンが実に魅力的に演じていました。また、ジェームズ・スペイダーは女性の欲望の対象を演じることにかけては超一流です。美しい横顔といい、逡巡する様子といい、そそられるのです。 ただ、脚本がもう少しノーラと占い師のお姉さんとの関係について触れていたら、この話の理解が深まるように思いました。
それから、キャシー・ベイツがちょこっと出ていました。彼女が出てくるとその話にリアリティと生命感が与えられて、大好きです。
それと実際のスーザン・サランドンはこの役のような粗野な人ではないと思いますが、それでもプライヴェートでのパートナー、ティム・ロビンスが年下であることをどうしても思い起こしてしまいます。この二人は才能豊かなカップルです。
原題:White Palace 製作国:アメリカ 製作年:1990 監督:ルイス・マンドーキ |
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| 『テルマ&ルイーズ』 |
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冷静なルイーズ(スーザン・サランドン)が感情的なテルマ(ジーナ・デイビス)に徐々に同調していき破滅へひた走る様は娯楽映画として秀逸ですし、また人物の設定も主人公の女性二人を中心によくできています。 表面的には女性の社会進出が進み、フェミニズムが浸透しているかのように見えるのに、実はドメスティック・バイオレンスがあったり、女性蔑視が根強く底辺に息づくアメリカ社会の実態を自虐気味に描いているので、一般的には男性は気まずく感じるのではないかと思います。
原題:Thelma & Louise 製作国:アメリカ 製作年:1991 監督:リドリー・スコット |
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| 『愛と哀しみのボレロ』 |
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ジョルジュ・ドンの舞踊(モーリス・ベジャール振り付けボレロ)だけでもバレエ好きにとっては見る価値十分ですが、そうでない人にとっては人物の関係(それぞれが関係あるとは限らない)と一人二役を理解できるかどうかで好き嫌いが分かれるとは思います。でも一度で分からなかった人も二度、三度と観ればあちこちの話の辻褄が合ってきて、ジワジワと感動が広がるのではないでしょうか。 5組の家族それぞれが第二次世界大戦によって引き裂かれ、試練を乗り越え(挫折した人もいますが)最後に国連主催のボレロの舞台かそのTV放映を見守るという、国連を通しての世界平和希求をクロード・ルルーシュはいっていたのかな。という話を1981年に発表したのは時期が遅いようにも思う。
原題:Les Uns et Les Autres 製作国:フランス 製作年:1981 監督:クロード・ルルーシュ |
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| 『男と女』 |
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音楽のためにあるような映画で、フランシス・レイのメロディーがあり、それにあとから詩をつけたら、大人の男女のロマンスができたかのような映画です。(事実はもちろん違います。) それくらい会話が少なくて、男と女が勝手に相手のことを想像し、自分自身の思い出に浸る部分がほとんどです。つまり、お互いのことを理解などしていないのが、男女の仲だというのがクロード・ルルーシュ監督の考えなのでしょう。 雰囲気のある映画のつくりです。
原題:Un Homme et Une Femme 製作国:フランス 製作年:1966 監督:クロード・ルルーシュ |
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| 『モスキート・コースト』 |
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私が初めて観たピーター・ウィアー監督作品。
アメリカ現代社会への痛烈な皮肉で、その内容に公開当時とても感動しました。 と同時に、エンドロールにあったRiver Phoenixの名前をみて、その名前を忘れられなくなりました。
映画は興行的にはヒットしなかったようですが、私は最も好きな映画の一つです。 日本では、このあと『スタンド・バイ・ミー』が封切られて、リヴァー・フェニックスの名が日本でも知れ渡りました。 その後スクリーンだかロードショーだかの人気投票でも上位にランキングされてました。
ハリソン・フォードが「私が出演した映画では最もヒットしなかったが、自分では気に入っている作品だ」 と言っていた。
原題:The Mosquito Coast 製作国:アメリカ 製作年:1986 監督:ピーター・ウィアー 原作:ポール・セロー 脚本:ポール・シュレイダー |
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| 『いまを生きる』 |
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中高生に観て欲しい映画です。
この映画でキーティング演ずるロビン・ウィリアムズは好い演技をしているが、生徒たちの一人一人がもっといい。 私が最も好きなシーンは優等生ニールが父親の反対を押して『真夏の夜の夢』のフェアリー パックを演じる劇中劇。 ピーター・ウィアー監督の作品はどれも映像の透明感が高く、水と空気の表現が美しいです。 風景の捉え方の中に、自然と生命に対する畏怖を感じます。 16,17歳くらいの男子の脆くも尖った感性を上手に捉えています。
ピーター・ウィアーの言葉を目にした。
ある日本人陶芸家との出会いが私を変えた。 その人は、一流の技術を持っているのに、自分の作品にサインをすることがない。 生活道具として使われることに誇りを感じるんだそうです。 彼と会うまでは、私はアーティストになろうとしていた。 しかし、今は観客が楽しんでくれれば、自分がアーティストかどうかなんて、どうでも良くなったんです。 (朝日新聞)
こんな心境に達することができたのはある意味幸せな人だ。 スピルバーグよりも芸術性に関しては完成度の高い映画づくりをしてるからこそ言えるのかな。
原題:Dead Poets Society 製作国:アメリカ 製作年:1989 監督:ピーター・ウィアー 脚本:トム・シュルマン 撮影:ジョン・シール |
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| 『キッチン』 |
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映画と原作となる小説とは全く別のものなのだと思えずに、いろいろ比べて難癖をつけたくなるのが、自分自身嫌なところ。
今回森田芳光監督作『キッチン』(1989)を観て、浮遊感のある映画で面白いとは思ったものの、どうにもストーリーや一部の台詞に納得できなくて吉本ばななの原作を読んでみた。
映画の中でどうしても納得の出来ない部分は、主人公みかげの祖母が死んだ後、眠れなくなりあちこち試してみて、冷蔵庫の傍がひんやりして落ち着いて眠れたと言っていた部分だ。 映像の中の冷蔵庫は確かに日の差さない薄暗い部屋の片隅にあったけれども、実際には冷蔵庫の傍はパソコンの傍よりも暑いし、冷蔵庫の扉を開け放しにしておくのだとすれば、それは、冷蔵庫の中の食品を大事にしていないってことで、料理をする人のすることではないと思ったのと、実はキッチンという言葉そのものについての違和感だ。 確かに、映画の中の絵里子さんのマンションは広くてモダンで生活感がないショールームのようだったから、キッチンと言う言葉は合っていた。しかし、みかげと祖母が暮らしていた家のそれは、明らかに台所と呼ぶにふさわしいもので、その後、雄一と二人で新しい生活をスタートさせる家のそれは、台所ともキッチンともいえないくらいこじんまりしたもので、冷蔵庫とダイニングテーブルくらいしかなかったのに、タイトルの『キッチン』はなんとも釈然としなかったのだ。
原作本を読んで分かったことは映画は小説『キッチン』と『満月-キッチン2』のエピソードのいくつかを解体、再編したもので、テイストは映画のような生活感が希薄なお洒落なものではなく、決して不幸な結末ではないけれども、死と隣り合わせの日常の物語だった。 平易で行間の広い文章は確かに現代風ではあるけれども、お洒落なものではない。 だから、冒頭はこうだ。「私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う。」 また、「どこにいてもなんだか寝苦しいので、部屋からどんどん楽なほうへと流れていったら、冷蔵庫のわきがいちばんよく眠れることに、ある夜明け気づいた。」とだけ書いてあるし、 雄一はみかげが通っていた大学の1年後輩で、白タクの運転手ではない。 やはり、映画で不自然に感じた部分は、原作とは異なる部分だった。
宮部みゆき原作『模倣犯』のときにも、森田監督はテイストを変えて作り直し、ラストは全く異なる爆弾を仕掛けて、驚かされた。 この監督は、観客が驚くのを楽しみたいと思っているようだ。 映画『模倣犯』はラストのせいで、全体が漫画になってしまっったが、『キッチン』では、こんな構成もありなのかなとは思う。
製作国:日本 製作年:1989 監督:森田芳光 原作:吉本ばなな 脚本:森田芳光 |
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