トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン

2012.04.04 サントリーホール
プログラムB
「イントラーダ」
J.シュトラウスⅡ世 春の声 Op.410
 ソプラノ:天羽明惠
J.シュトラウスⅡ世 喜歌劇「こうもり」より
 序曲
‘侯爵様、あなたのようなお方は’
‘田舎娘の姿で’
  ソプラノ:天羽明惠
シューベルト
 イタリア風序曲ハ長調D.591
 オッフェルトリウム「心に悲しみを抱きて」ハ長調D.136
  ソプラノ:天羽明惠 クラリネット:ペーター・シュミードル
アンコール
ケルビーニ :アヴェ・マリア
ベートーヴェン ロマンス第2番ヘ長調Op.50
  ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ
モーツァルト 交響曲第40番ト短調K.550
アンコール
J.シュトラウスⅡ世  騎士パズマンのチャールダッシュ
J.シュトラウスⅡ世 トリッチ・トラッチ・ポルカ

勢いよく始まった前奏曲と「こうもり」序曲では、小編成のまとまりの良さを感じたが、歌が入ってからは天羽明惠が勢いに乗りきれず残念に思った。しかしアンコールのアヴェ・マリアはシュミードルのクラリネットのしみじみとした音と溶け合って、訳もなく涙がこぼれた。
後半ベートーベンのロマンスは鋭利な音のシュトイデが速めのテンポを揺らす個性的な演奏で、所謂ロマンティックな演奏ではなかったけれど、これはこれで楽しかった。また、モーツァルトの交響曲40番もツボを心得た演奏で軽すぎず重すぎず、ゆったりとリラックスできた。
全体的に体も心もリラックスして気持ち良さが終演後もしばらく持続した演奏会だった。サントリーホールの8列目くらいだと音が頭の上を通り過ぎていく感じがするけれど、今回は1階12列中央で自然にすんなりと聴こえてきて違和感がなかった。15,16列でなくても12~14列でもいいかなと感じた。

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山根一仁 ランチタイムコンサート

2012.04.07 トッパンホール
ピアノ:鈴木慎崇

ブラームス ヴァイオリンソナタ第1番 ト長調 Op.78
ワックスマン:カルメン幻想曲
アンコール
クライスラー : 中国の太鼓 Op.3
バッツィーニ : 妖精の踊り Op.25

ブラームスのヴァイオリンソナタ1番は丁寧な演奏だったけれど、少し退屈だった。ピアノの伴奏はどちらかというと控えめで、もっとピアノがヴァイオリンを挑発しても良かったのではないかと思った。
この曲では客席があまり盛り上がらないことを予想していたのかもしれない。2曲目に技巧的なカルメン幻想曲を持ってきて、彼の速弾きで盛り上げようというプログラムだった思う。アンコールでは立て続けに技巧的難曲を2曲演奏して大いに盛り上がった。
重音の速弾きをしても音程が狂うことは少なく、きれいな音としっかりしたリズム感を持っていて、華のある演奏家だと思った。

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レ・ヴァン・フランセ 2012

2012.04.21 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール

バーバー:夏の音楽 作品31
ファランク:六重奏曲 ハ短調 作品40
モーツァルト:ピアノと管弦楽のための五重奏曲 変ホ長調 KV 452
ヴェレシュ:オーボエ、クラリネット、バソンのためのソナチネ
プーランク:六重奏曲
アンコール
ルーセル:ディヴェルティスマン op.6
テュイレ:六重奏曲 変ロ長調 op.6 第3曲 ガボット

2009年に初めて生で聴いてすっかり魅了されたこのユニット。今回も各々の美音と妙技に絶妙のアンサンブルを堪能した。
どの曲も良かったけれど、特にヴェレシュのソナチネがリード楽器のみの音色の重なりが美しくて、マットで柔らかな質感なのに意外にシニカルな表現内容のパウル・クレーの抽象画のようで私の中では一番だった。そんなことを考えながら少しヴェレシュについて調べていたら、パウル・クレーへのオマージュという曲を書いていた。ハインツ・ホリガーは教え子とのこと。

ルルーの輝かしい音色はオーボエの持つちょっと野暮ったいくらい生身の感じではなくて、洗練されていてお洒落で、彼が身に着けている衣装(一人だけチャコールグレーのスタンドカラー少し長めのサイドベンツ・ジャケットの胸にはポケットチーフ)に対するこだわりにも通じるものを感じた。前回同様終始他のメンバーに向けてアイコンタクトを取っていた。

ポ-ル・メイエの演奏は全体のバランスを考えた音量をほぼ終始保っていたけれど、リズム感抜群の息遣いでメンバーをまとめていたようだった。ソロパートでの艶っぽさは健在。彼の衣装は黒のサイドベンツ・ジャケットに細身のパンツと黒いシャツ、ネクタイは黒に近い濃紺?ジャケットの袖口カフスと裏地が赤という洋服のセンスはいかにもフランス人的だけれど、ステージでの行動は地味というかルルーやパユに比べると控えめ。

パユはフルートという楽器で煌めくような音からかすれるハスキーヴォイスまで様々な音色を使い分ける。確かに巧いと思うのだけれど、身に着けるものに拘りを持たないようで、今回はネクタイの色と結び方が変だった。人気は一番。

バソンのジルベール・オダンは今回も柔らかで暖かな低音でアンサンブルを支えていた。未だに、バソンとファゴットの違いがよくわからないが、ファゴットよりもバソンの方がオーボエの音に近いような気がする。もらった花束をベルに差し込もうとしていて、地味に受けを狙っていた。受けを狙っていたといえば、ルルーはパユが2つ目の花束をもらっているときに、自分の花束を受け取りに自ら催促に行ったり、パユは他のメンバーより先に舞台袖に下がりながら、ほかのメンバーに拍手したりしていて、全体的にテンションが高かった。皆、一曲終わるごとに2階席を気にして何やら話していたが、制服を着た女子学生が大勢来ていたせいかな。

そしてホルンの音は軽く爽やかで、象の鳴き声かと思うような破裂音は決して聞こえてこない。ヴラトコヴィチ、このメンバーの中では背は高くないけれど体の厚みと幅があっていかにも肺活量がありそうだ。こんなきれいな音のホルン奏者が日本のオーケストラにもいたらいいのに・・・

今回ル・サージュは他のメンバーのサポートに徹している感じだった。定番のプーランクやテュイレの六重奏ではにぎやかな管楽器の演奏に自然に溶け込んでいた。
爽やかな初夏の風を存分に楽しめた。

2009年の記録を読み返すと、タイとシャツの色が異なるけれどP.メイエのスーツは前回と今回と同じものみたい。各メンバーについての感想も同じような感じ。一番違ったのが、聴衆の年齢だったのか。若い人が多いというのは珍しい。

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トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンと山根一仁 ランチタイム コンサートについては時間がかなり経過したけれど、次回簡単なメモは残しておこうと思う。

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アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト Bプロ

ずいぶん時間が経ってしまったので簡単に。

アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト Bプロ
2012.02.23 ゆうぽうとホール

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「ラリナ・ワルツ」
振付:リアム・スカーレット
音楽:P.I.チャイコフスキー
アリーナ・コジョカル、ローレン・カスバートソン、ロベルタ・マルケス
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、
ワディム・ムンタギロフ、セルゲイ・ポルーニン

7人のプリンシパルによる華麗なオープニング。
カスバートソン、マルケス、コボー、マックレーはオーソドックスでノーブルな踊り。
コジョカルは相変わらず巧い。
ムンタギロフ、ポルーニンは若いわりには弾けた感じはしない。

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「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
ロベルタ・マルケス、スティーヴン・マックレー

ユーモラスで踊りを軽快にいかにも楽しげに踊る小柄な二人は、ちょっと微笑ましく見えるけれど、あの早いリズムを身体全体で正確に刻むのは至難の技かも。マックレーの頭のてっぺんからつま先までコントロールされたブレのない跳躍が美しい。

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「くるみ割り人形」より グラン・パ・ド・ドゥ
原振付:ワシリー・ワイノーネン
音楽:P.I.チャイコフスキー
ダリア・クリメントヴァ、ワディム・ムンタギロフ
クリメントヴァは地味だけれど、丁寧で正確な踊り。
ムンタギロフは身長の割に小顔なので、舞台映えするけれど、少し着地音が気になった。

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「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・ブーニ
ローレン・カスバートソン、セルゲイ・ポルーニン
この音楽を聴くと私の脳内では若き日のレジュニナとルジマトフの踊りが自動再生されて困るが、このペアは共に手足が長く、見目麗しい。
カスバートソンはどのポーズでも安定して綺麗なラインを保っていて、気持ちよかった。
高いジャンプから540を繰り出すポルーニンには歓声が上がっていた。なるほど切れのある回転だなとは思うものの、体操競技のように見えてしまうのは、「スパルタクス」でワシーリエフを観た後だからか。

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「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
アリーナ・コジョカル、アレクサンドル・リアブコ
ノイマイヤーのバレエの中では、このパ・ド・ドゥは少々苦手だったのだけれど、コジョカルとリアブコが踊るなら、と楽しみにしていたこの日の「椿姫」。
コジョカルのマルグリットはアルマンの思い出語りの中の美化されたものではなく、等身大の今を生きている生身の女性に感じられ、時代がかった娼婦という感じはしなかった。コジョカルの演技が濃い。
リアブコのアルマンが獲物を貪る獣のようで、リフトではマルグリットをブンブン振りまわしていたし(逆に言うとコジョカルがリフトされる時のポジションが正確ということかな)、激しい息遣いがだんだん早くなり終にクライマックスを迎えて、ずっと息をこらして観ていたこちらがテクニカルノックアウト。舞台上でのコジョカルとリアブコは特濃のペアだった。この演目のためだけに来日してくれたリアブコに感謝。
この演技は狂おしいほど速くて激しいフリードリヒ・グルダの弾くショパンのバラード1番がイメージされたが、実際の演奏はこの曲を弾いたことのない人のようだった。譜面台には楽譜の縮小コピーを貼りあわせたものが置いてあったが、せめて縮小せずに普通サイズの譜面で譜めくりさんをおいた方が良かったのでは?いずれにしてももっと弾けるピアニストの選出を望みたい。

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「ザ・レッスン」
振付・デザイン:フレミング・フリント
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
教師:ヨハン・コボー
生徒:アリーナ・コジョカル
ピアニスト:ローレン・カスバートソン
これがまた噂通りのサイコ劇。舞台セットがしっかり組まれ、半地下のスタジオから地上階にいるダンサーの脚元が曇りガラス越しに伺われる。椅子倒れ、転がっている。カスバートソン@ピアニストの挙動がおかしいと思っていると、そこに現れたコジョカル@生徒がロリータ過ぎて、さらに奇妙な関係が生まれる。コボー@教師の登場で強烈な違和感が湧いてくるが、ここからのエスカレートぶりが尋常でなく、この三人の演技はダンサーというより演劇人のよう。これは演じる方も、観る方も精神的に疲れる演目だ。でもその分、インパクトも大きい。

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「ドン・キホーテ」デヴェルティスマン
原振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
アリーナ・コジョカル、ローレン・カスバートソン、
ダリア・クリメントヴァ、ロベルタ・マルケス
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、
ワディム・ムンタギロフ、セルゲイ・ポルーニン
高村順子、西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春香、田中結子、吉川留衣、岸本夏未
カスタネットの踊り(カスタネットを使っていなかったけれど)のあとのパ・ド・トロワでコボーが先ほどの変態教師から気の良い陽気なお兄さんに大変身。花売り娘を両脇に従えて軽快に踊っていたのが面白くて、個人的には一番のツボだった。コジョカルのものすごく長いバランスや恐ろしくゆっくりしたイタリアンフェッテとか、これまで観たことのないコジョカル独自のキトリとか、まるでブリッジするのかと思うほど背を反らせるムンタギロフとか、惚れ惚れするほど脚の先がきれいなマックレーのマネージュの鮮やかさ。本当に素晴らしかった。

今回のガラ公演はタイトル通りまるで夢のようなひと時だった。この夢を届けてくれた出演者全員に感謝するとともに、コジョカルとコボーの二人がこれほどあらゆる意味で輝いた現場に立ち会えてよかった。

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今年は寒いのでまだ見頃には少し早い

もうそろそろ、蝋梅や紅梅が咲き始めたのではと思い大宮第2公園梅園に行ってきた。
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蝋梅はまだ蕾、今日は暖かったので今週末には咲き始めるかしら。

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八重寒紅梅だけがやっと咲き始め。
梅園にはいると、かすかに薫る。

先日の「スパルタクス」の興奮が未だ冷めず、一人でボーっと公園を歩いていたら、ゴールデンレトリバー(かも?)に「こんにちは。いい天気ですね!」と挨拶された。


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ボリショイ バレエ「スパルタクス」

2012.01.31 東京文化会館

音楽:アラム・ハチャトリアン
振付:ユーリー・グリゴローヴィチ
美術:シモン・ヴィルサラーゼ
音楽監督・共同制作:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
指揮:パーヴェル・ソローキン
管弦楽:ボリショイ劇場管弦楽団

スパルタクス:イワン・ワシーリエフ
クラッスス:サレクサンドル・ヴォルチコフ
フリーギア:スヴェトラーナ・ルンキナ
エギナ:エカテリーナ・シプーリナ
剣奴:アントン・サーヴィチェフ

予想をはるかに超えて楽しかった。
チケットを買う時どの席にするか迷ったが、舞台全体を見渡すことが出来て、大音響を楽しめるところと思い、3階センター最前列にした。群舞も奥行きの深い舞台全体も大音響も楽しめたので良かったが、オペラグラスを使ってもやはり舞台との距離がもう少し近いほうがそれぞれのダンサーの顔の表情が分かるので2階センター最前列の方が良かったかな。東京文化会館1階は残響が少ない分音の豊かさが足りないけれど、あの大音量なら、迫力の舞台を間近に見たかった。私よりも家人は目が良いのでこれまでオペラグラスを薦めても使ったことがなかったが、今回は時々オペラグラスを使っていた。

私が持っているハチャトリアン指揮ウィーンフィル演奏の抜粋「スパルタクス」CDでもウィーンフィルの演奏にしてはワイルドだけれど、この日の演奏は打楽器が大活躍。鐘、太鼓、タンバリンと「キンコンカンコン、パンパンパパーン!」音楽監督にロジェストヴェンスキーの名前がある通りの爆演だった。弦、管楽器が一流とは言えないけれど、舞台を盛り上げる音楽として大活躍。指揮のソローキンはいかにもロシア人らしい大柄な体つき、連日あの演奏をするのはかなり消耗すると思われる。お疲れ様。

開演間際に客席に入場してきたフィーリン芸術監督は、3階席からでも目を引いた。背筋が伸びて姿勢が良く、歩く時の足の運びが綺麗。さすがにスターオーラが違う。

シプーリナ@エギナは背が高くて、高く上がる脚が綺麗。やはり背が高くて、手足の長いヴォルチコフ@クラッススとはバランスが取れていた。シプーリナは連続で前に脚を振り上げても、後ろに反らせても、音に合わせて同じ角度で高く上がり見ていて気持ちよかった。3幕で反乱軍の男たちを誘惑するシーンでは官能的でありながらどこか冷めた客観性も感じさせて演技もうまい。
ヴォルチコフは1幕で海老反りジャンプの連続で疲れたのか、2幕ではバランスを崩して転ぶというアクシデントもあったけれど、3幕ではストーリー通り名誉挽回、パワフルに踊り続けてくれた。
ルンキナ@フリーギアは小柄だけれど顔がとても小さいので全体のバランスが取れていて、地味な衣装でも他の奴隷に比べると明らかに美しい。綺麗に浮かび上がらせるあたりはシンプルながら照明の効果が上がっていた。これまでルンキナは演技が淡白で少々残念だと思っていたが、フリーギアはエギナとの対比において貞淑な優しい女性として描かれているので嵌り役だったのかもしれない。
そして初めから非常に高い次元のパフォーマンスを見せてくれたのがワシーリエフ@スパルタクスだった。高い跳躍は初めから終わりまで衰えないし、しかも無理に跳んでバランスを崩すこともない。ピルエットは軸がぶれずに廻る、回る。映像で見たカルロス・アコスタよりも野性的でそれでいてフリーギアを心から愛おしく思う様子が伺えた。片手リフトも安定していて、フリーギアの美しさを際立だせていた。また3幕でローマ軍に串刺しにされた姿はドラマティックで美しかった。

舞台装置はシンプルだったが、ステージの奥行きを深く広く使い、蚊帳のように紗幕を吊り下げて場面転換をしていたのが面白かった。

今回来日直前に発表されたワシーリエフとオーシポワのミハイロフスキー劇場への移籍で、「スパルタクス」がどうなるか心配したが、この公演を見ることが出来て本当に良かった。終演後1階はかなりの人がスタンディング・オヴェイションしていた。
演目のせいか、いつものバレエ公演に比べて男性の比率が高いように感じた。
次回ボリショイ劇場公演があったらまた「スパルタクス」を見たい。その時は普段バレエを見ない人も含めて出来るだけ多くの人にぜひ見るように薦めたい。

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M・ヤンソンス:コンセルトヘボウ;アンスネス

先週金曜日のべスト オブ クラシック(NHK FM)を聴いた。アンスネスのブラームス ピアノ コンチェルト2番とアンコールのショパン ワルツ 変イ長調。後半はベートーヴェンのシンフォニー7番。

コンチェルト2番は好きな曲でいくつかお気に入りの演奏がある。この演奏はピアノは良かったのに、金管が時々ひっくり反っていて少々残念だったにしても、表面的には爽やかさを装いながら意外にねちっこいアンスネスが聴けて楽しかった。アンコールのショパンは絶品。
あんな演奏のアンスネスを聴きたい。

後半のベトシチは楽しくって、ノリノリ。指揮者もオケも弾けていた。4楽章は映画「愛と哀しみのボレロ」の中でジョルジュ・ドンが踊るベジャール版「海賊」が脳内再生されて、じっとしていられない。演奏は3楽章が一番良かったかな。この曲は管楽器もしっかり演奏していた。

ラジオ番組の録音が出来なかったのが残念。再放送があるといいけれど。
クラシック倶楽部ではアンスネスのヤナーチェクを何度も再放送しているのにシューベルトとアンコールのベートーヴェンとスカルラッティを放送したのを聴いたことが無い。シューベルトはピアノの音が少し変だったことがあるのかもしれないけれど、あのアンコールに弾いたベートーヴェンとスカルラッティにこそ、実はアンスネスの特質が表れていたように思われる。

明日はいよいよボリショイ「スパルタクス」。ハチャトリアンの音楽はバレエに詳しくない家人でも知っているはず。楽しみ。

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アルカント・カルテット

2012.01.15 トッパンホール

バルトーク 弦楽四重奏曲第6番 Sz114
ハイドン 弦楽四重奏曲 ロ短調 Op.64-2 Hob.III-68
ドビュッシー 弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10
アンコール
クルターク 5つの楽興の時より カプリッチョ
ブラームス 弦楽四重奏曲第3番より 第3楽章
J.S.バッハ フーガの技法 BWV1080より コントラプンクトゥス

バルトークは正直なところ私の好きな攻撃的で鋭利な演奏ではなかったため少々眠かったのだけれど、普段なら眠くなるハイドンが寧ろ良くてこういった古典の方が得意なのかと思った。2ndVnのゼペックは綺麗な音で、暖かな音でたっぷりとした響きを作り出すタベア・ツィンマーマンとこの二人がカルテットをコントロールしているようだった。ツィンマーマンはやはり巧かった。
休憩を挿んで、ドビュッシーがとても魅力的な演奏でホール全体が歌っているようだった。ヴァイトハースとケラスの音も興に乗って、ブラームスとドビュッシーがこの日の白眉だったと思う。
これだけバラエティに富んだ曲をたっぷり聴かせてもらえ、また、4人とも終始にこやかだったおかげで、とても幸せな気持ちにしてもらえた。終演後サイン会に出てくるのを待って、拍手して帰ろうとしたらヴァイトハースとツィンマーマンの二人から「Thank you.」と言われて嬉しかった。

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ドビュッシーの弦楽四重奏曲の入っているCDの表紙。
スーラやピサロ、シニャックの絵と似ているけど見たことが無いので誰の絵だろうかと思ったら、新印象派マクシミリアン・ルースのCouillet la nuitという絵だとのこと。
CDの中を開くとこんなモノクローム仕上。なかなかおしゃれに出来ているけれど、このユニットのイメージは元気がありなおかつ洗練されているけれど、モノクロームではないかな。
特に一見地味なゼペックは右耳にだけ大き目なゴールドのピアスをしていて、昔のちょっと”とっぽい”高校生のようだし、ケラスも茶目っけたっぷりだし、前述のようにヴァイトハースとツィンマーマンも気取らず親しみやすそうな印象。
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CDを聴いたところではやはりドビュッシーが好印象。

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平成24年 元旦

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2011年音楽・舞台鑑賞総括

2011年音楽&バレエ鑑賞総括

今年は3.11以降公演キャンセルが続いたし、家族の入院などのためにかなり数が限られた。ウィーンフィルとかキーシンとか聴きたかったな。

最も印象深く感動したのはギエムのパフォーマンスだった。改めてバレエというよりも身体表現の奥深さと完成度の高さを感じさせてくれた舞台だった。舞台と観客の気持が交互に喚起されていく過程はその場にいた人にしか経験できないもので、ギエムのもつカリスマ性と人懐こい笑顔に元気づけられた。

1/20    ベルリン国立バレエ「チャイコフスキー」
     東京文化会館

4/6    ヤン・リーピン「蔵謎」
     オーチャードホール

5/12  クリスティアン・テツラフ
     トッパンホール
     バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ2,3番

5/15 クリスティアン・テツラフ
     トッパンホール
     バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ1番
     バルトーク無伴奏ソナタ

6/20 みどり&オズガー・アイディン
    サントリーホール
    モーツァルト   :ピアノとヴァイオリンのためのソナタト長調
    ヤナーチェク  :ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
    ラヴェル         :ヴァイオリンとピアノのためのソナタト長調
    サッリネン      :4つのエチュード Op.21
    ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ
              第9番イ長調「クロイツェル」Op.47
    アンコール  ドビュッシー :亜麻色の髪の乙女

8/3  金子三勇士 ランチタイムコンサート
      トッパンホール
         リスト スペイン狂詩曲 S254
         コンソレーション第3番 S172-3
         メフィスト・ワルツ第1番 S514

8/11    大野和士のオペラ・レクチャーコンサート《二つのボエーム》
     神奈川県立音楽堂

レオンカヴァッロといえば≪道化師≫しか知らない私。一方有名な作品がずらりと並ぶプッチーニ、この二人がほぼ同時に≪ラ・ボエーム≫を作曲していたとは。しかもプッチーニは裏切りとも言える方法で。大野さんのお話は面白かったが、少し疲れているように見えた。今の私の家からはかなり遠い神奈川県立音楽堂だったけれど、楽しい時間が過ごせてよかった。

8/17   ヴィシニョーワ&チュージン&東京バレエ団「ジゼル」
     ゆうぽうとホール     

10/1   渡辺克也のグラン・パルティータ
     トッパンホール
     モーツァルト セレナード第12番《ナハトムジーク》
            セレナード第10番《グラン・パルティータ》

トッパンホールが好きな母がヴァイオリンの無伴奏曲よりも合奏曲の方が好きだと言うので、ではぜひモーツァルトで幸せな気分になってもらおうと思ったのに、体調不良で行けなくなり、代わりに家人と行ってきた。コントラファゴットと言う楽器をたぶん初めて見た。ブォーという超低音がお腹に響いた。渡辺克也の音が大きくて、綺麗で、オーボエ好きにとっては幸せな時間だった。四戸世紀のクラリネットもやはり音が大きく、響きが丁寧だった。

10/19  ギエム・チャリティ・ガラ <HOPE JAPAN> 
     東京文化会館
     「現代のためのミサ」より“ジャーク”東京バレエ団
     ニネット・ド・ヴァロワによる詩 朗読:アンソニーダウエル
     「ルナ」 シルヴィ・ギエム
     「アルルの女」より マッシモ・ムッル
     「火の道」舞踊:花柳壽輔  横笛:藤舎名生  太鼓:林英哲
     「ダンス組曲」より マニュエル・ルグリ  チェロ:藤原真理
     日本歌曲 独唱:藤村実穂子
     「ボレロ」シルヴィ・ギエム 東京バレエ団
          アレクサンダー・イングラム
          東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

10/25  ギエム オンステージ 2011 Aプロ
     東京文化会館
    「白の組曲」東京バレエ団
    「マノン」より寝室のパ・ド・ドゥ ギエム ムッル
    「スプリング・アンド・フォール」より 吉岡美佳 高岸直樹
    「田園の出来事」ギエム ムッル ダウエル 他
     
11/15   ピーター・ウィスペルウェイ
     トッパンホール
     ベンジャミン・ブリテン 無伴奏チェロ組曲 第1,2,3番

3曲ともポイントを説明をしてからの演奏だった。演奏者自身の説明があったおかげで興味が広がった。ツィメルマンがルトスワフスキのピアノ協奏曲について説明してくれたときにも感じたが、あまり普段聴く機会のない音楽は事前に解説があると、曲に対する興味をより強く持つことが出来る。
私はエモーショナルな3番が聴きやすかった。席がステージに近かったので、弦の振動を眼と耳と心臓で感じられたことが良かった。

11/17 映画「Pianomania」試写会&エマール トークタイム
     トッパンホール

11/18   ピエール=ロラン・エマール
     トッパンホール
     リスト    悲しみのゴンドラ第1稿
     ワーグナー  ピアノソナタ 変イ長調
     リスト    灰色の雲
     ベルク    ピアノソナタ
     リスト    不運!
     スクリャービンピアノソナタ第9番《黒ミサ》
     リスト    ピアノソナタ ロ短調 

今年アニヴァーサリー・イヤーだったリストだが、エマールのロ短調ソナタは、演奏の様子に比べてあっさり聞こえて拍子抜けした。これまでこの曲から私が感じてきた、人生における喜怒哀楽とか諦観というような感情の起伏という捉え方ではなかったのだと思った。リストという作曲家の音楽史における位置づけに軸足が置かれていたのだろう。どの曲も幸せとか平穏とはかけ離れていて、少し穿った見方をすれば、これが日本の今の状況を表現しているともいえた。

来年はもう少しいろいろな舞台を楽しめると良いなと思っている。
アルカント・カルテット、ボリショイ≪スパルタクス≫、コジョカル、トヨタ・マスタープレイヤーズ、レ・ヴァンフランセ、テツラフwith児玉桃は手配済み。クレーメル、ポリーニやツィメルマン、再来年のアンスネス;サロネン:フィルハーモニア管弦楽団はとても楽しみ。

12/21追記
コジョカル・プロジェクトBプロはアレクサンドル・リアブコが参加してコジョカルと「椿姫」黒のパ・ド・ドゥを踊ることになった。うれしい驚き。ハンブルク・バレエ団アジアツアーから外された日本だけれど、大好きなリアブコが来てくれるとは幸せ。「ドン・キホーテ」にはでないのかしら。

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